融資手数料の損金

融資の方法により、融資手数料の種類や金額、損金計上が異なってきます。業績が赤字寸前の企業や数千億円単位のシンジゲートローンを行った場合、融資手数料の損金計上で業績が大きくかわるときがあります。

(1)銀行融資の手数料

銀行融資の手数料を考えると、不動産登記や保証料、融資の事務手数料などがあります。融資手数料は、シンジゲートローン融資の場合は多額になりますし、決算対策を考えている方も多いのではないでしょうか。
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(2)不動産担保融資の損金処理

不動産担保の手数料

不動産担保融資の手数料は、新規融資の場合、不動産に対する登記の費用が必要になります。不動産の0.5%~1%近く手数料が必要と思いますが、不動産は高額ですので高額になります。
  1. 司法書士手数料
  2. 登録免許税
  3. 登記印紙
不動産の登記費用などの融資手数料の損金処理について考えると、国税庁が平成24年4月1日現在法令等を見ると、No.5400 減価償却資産の取得価額に含めないことができる付随費用を発表しているので見てみましょう。

減価償却資産と融資手数料の関係

購入した減価償却資産の取得価額には、原則として、その資産の購入代価とその資産を事業の用に供するために直接要した費用が含まれます。また、引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税などその資産の購入のために要した費用も含まれます。 ただし、次に掲げるような費用については、減価償却資産の取得に関連して支出した費用であっても、取得価額に算入しないことができます。 
通常であれば、購入に必要な費用は、取得原価に含むことで減価償却による長期間の経費となりますが、例外規定があります。

融資手数料の会計処理

  1. 不動産取得税又は自動車取得税
  2. 新増設に係る事業所税
  3. 登録免許税その他登記や登録のために要する費用
融資手数料の損金処理のうち、不動産担保融資の場合は、上記の規定から法人は経費として一括償却するか、取得原価に含めることを選べることが分かります。

(3)マル保融資手数料の損金処理

マル保融資のデメリットは、保証料に多額の費用が必要なことです。マル保融資の手数料は、融資期間に対して支払う保証料ですので按分ができます。
  • 定額法
  • 定率法
マル保融資手数料の損金処理については、減価償却のように定額法と定率法が認められています。財務余力のない法人や個人事業主の場合、定額法を選択する方が多いのではないでしょうか。

信用保証協会の融資は、融資金額が少ないと感じる人もいるようですが、1000万円以上の融資になれば融資手数料は高額になります。アベノミクスによる金融緩和は、融資金利を引き下げているため、融資手数料と金利の合計は小さくなっていますね。

(4)シンジゲートローン融資手数料の損金処理

シンジゲートローン融資のリスクを考えると、銀行との対話が減ることがありますが、融資手数料が契約時に必要なことがあります。シンジゲートローン融資手数料は、契約金額に0.5%~1%の金額を乗じたものが多いと思いますが、数億円~数千億円以上のものまで幅広いですね。
  • アレンジメントフィー シンジゲートローン融資を締結するときの手数料
  • エージェントフィー 契約期間中の事務手続きやコベナンツ確認の手数料
シンジゲートローン融資の手数料を見ると、一時的な手数料と長期間の手数料があると分かります。エージェントフィーは、シンジゲートローンで定めた財務制限条項(コベナンツ)が遵守されている確認や参加している金融機関との事務手続きを行う手数料です。

プロジェクトファイナンスによる融資も、アレンジメントフィーやエージェントフィーの支払いがあることがありますので、上記の通りになります。メガバンクや地方銀行は、太陽光発電融資に力を入れてきましたが、融資手数料の収益が魅力的なためですね。

(5)融資手数料についてどちらが得か

  • 定率法 初期の損金が多く利益圧縮に繋がる
  • 定額法 初期の損金が少なく経費を限定的にできる
融資手数料を定額法と定率法のどちらにすべきかは、個々の法人によって異なると思います。節税のために赤字にするべきであるという意見もあると思いますが、管理人は融資を考えるのであれば決算書は赤字よりも黒字のほうがよいと考えています。
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