楽天 三菱UFJ証券アナリストに反論の理由

楽天が三菱UFJモルガンスタンレー証券の証券アナリストに反論、出禁にしています。証券会社のレポートは株価を左右しますが、楽天の主張を見ると、証券アナリストの計算は杜撰ですね。

(1)銀行融資と株式投資の違い

銀行融資と株式投資の違いは、株式投資は投資家に大きなリスクがあることです。投資家に情報提供を行うために、証券会社は証券アナリストがレポートを提示しており、株価に大きく影響します。

上場企業はIRの観点から、証券アナリストへとの質疑応答を行っていますが、楽天の主張を見ると証券アナリストレポートを見るときに注意が必要であると分かりますね。
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(2)楽天と三菱UFJモルガンスタンレー証券のアナリストレポートの概要

楽天は日本を代表するIT企業ですが、三菱UFJモルガンスタンレー証券はIT業界を代表する証券アナリストが担当してたようですね。

大手証券会社のアナリストレポートは、株価に大きな影響を与えるため、単純な数値ミスは証券会社や証券アナリストの信頼が失墜すると言えます。

楽天、三菱UFJ証券アナリストに反論の理由について、2013年7月2日の楽天プレスリリースで、三菱UFJモルガン・スタンレー証券のアナリストレポートについてを発表していますので見てみましょう。
  1. 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の荒木正人シニアアナリスト
  2. 2013年6月21日に発行したアナリストレポート
  3. 楽天が荒木正人シニアアナリストに面会
  4. 楽天のアナリストレポートのうち3項目について疑問点を提示、改善を要望
  5. 楽天は改善が実施されていないため、アナリストを取材禁止にする
楽天が三菱UFJ証券のアナリストに対して、数値の間違いを指摘しており、改善を要望しています。楽天の要望に対して、三菱UFJ証券のアナリストは反論できていないと判断して、アナリストを取材禁止にしていますね。

(3)-1 楽天のコスト予想をグループ別に行っていない

(1)当社グループではEC、オンライン旅行予約、金融事業等、収益構造が異なる多様な事業を運営しているにも関わらず、当該レポートで用いられている業績予想モデルは、コスト予想をグループ合算ベースでのみ行っているため、事業別の利益分析がほとんどなされておらず、分析が極めて浅い
楽天が反論した一つ目の理由は、楽天のコスト予想をグループ別に行っていないという点です。企業グループが異なる事業を行っている場合、収益モデルが異なりますので、計算を個別に行うことは、当たり前ですね。

楽天は上場企業ですので有価証券報告書などに情報開示が行われていますし、大手証券会社のアナリストであれば、質問は簡単にできますね。

(3)-2 法人税の実効税率根拠が意味不明

(2)業績予想に用いられた法人税率の根拠が不明である。特殊要因が発生した2012年度の実効税率と同水準の57%を2013年から2015年の実効税率に適用しているが、その根拠について全く説明されていない。
楽天が反論した二つ目の理由も当然ですが、法人税の実効税率適用が意味不明な金額になっています。三菱UFJモルガンスタンレー証券は、アナリストレポート作成の際に、コピペで前年と同水準の計算を行った可能性が高いですね。
  • 当期利益予想=税引き前当期純利益予想-予想法人税(法人税予想実効税率)
日本の法人税の実効税率は35%前後と言われていますので、57%で業績予想を行っているとすれば、当期利益予想の計算が大きく変わります。

(3)-3 株主価値の算出方法に間違いがあり、株主価値を低く計算

(3)株主価値の算出方法がファイナンス理論の観点で誤っている。当該レポートでは、純利益に倍率を乗じた「修正時価総額」に「ノンオペレーティングアセット」を加算して時価総額を算出している。しかし、純利益は金利支払い後の数字であるにも関わらず、「ノンオペレーティングアセット」から借入金を控除している。
楽天が反論した三つ目の理由は、株主価値の算出方法が間違いであると言う点ですが、管理人も少し自信がないですが、下記の理由と思います。
  1. 純利益は金利支払い後の数字 営業外損益で金利支払はすでに計算されている
  2. ノンオペレーティングアセットから借入金を控除 借入金の金利支払は営業会損益で考慮されているため除外する必要はない
  3. ノンオペレーティングアセットとは、日常業務以上に保有している現預金や資産
楽天が三菱UFJ証券アナリストに反論したのは、上記の理由であると思います。楽天の株主価値算出の数値が、借入金を間違って控除したため株主価値が安く算出されたと言う主張ですね

(4)楽天と荒木正人シニアアナリストの面会結果

  1. (1)については検討に時間を要するとされました。
  2. (2)については当社の主張を受け、2013年7月1日に発行された同氏のレポートにおいては税率が修正され、予想EPS(2013年度)は35.8円から51.8円へと、45%増額されました。
  3. しかしながら、(3)については当社の主張した理論上の誤りは7月1日付けレポートでは修正されたものの、予想する利益成長率に変化がほぼないにも関わらず、長期成長率を反映すべき評価倍率(PER)は低下しました。
  4. 具体的には2013年加重平均PERは24.8倍から17.8倍へと変更されていますが、(1)で指摘したような分析の貧弱さについては改善が見られなかったことから、変更の根拠が極めて薄弱と当社は考えております。
楽天と荒木正人シニアアナリストの面会結果を見ると、法人税率は前年のコピペで計算していたようですので、一株当たり利益(EPS)を修正していますね。
  1. 当期利益予想=税引き前当期純利益予想-予想法人税(法人税予想実効税率)
  2. 予想EPS(予想一株当たり利益)=予想当期利益÷期末の発行済み株式数
  3. 法人税予想実行税率の低下で、予想EPSが上昇
楽天の一株当たり利益が、荒木正人シニアアナリストの計算間違いで増加したことに加えて、コスト計算を厳密に行えば、企業の成長予測は高くなるというのが楽天の主張でしょうね。

(5)楽天が三菱UFJ証券の荒木正人を出入り禁止

以上に鑑みて、当社としては同氏による過去及び将来のレポートは当社への投資判断の一助とはなりえないと判断しており、投資家の皆様におかれても参考とされないようお勧め致します。また、当社は今後同氏の取材については一切お受けしません
楽天は三菱UFJモルガンスタンレー証券というよりも、荒木正人氏の出入り禁止を通告していますね。荒木正人氏は、IT系の証券アナリストですので、出入り禁止はキャリアを考えると痛手になるのかもしれません。

楽天が三菱UFJ証券アナリストに反論の理由を見ると、上場企業の株価を左右する証券アナリストの株価予想がかなりいい加減であることが分かりますね。楽天 荒木正人シニアアナリスト三菱UFJモルガンスタンレー証券批判のポイントを見ると、楽天の情報開示姿勢も批判されており、対応に注目ですね。
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